日本物理学会第29回(2024年) 論文賞を受賞しました

2024年9月18日に行われた日本物理学会第29回論文賞表彰式で,我々の研究グループの論文が受賞しました。受賞した論文の詳細については,日本物理学会誌に記載されていましたので,下記に転載します。多くの方に関わって頂き,また非常に大きな反響を頂いたことに,関係者各位に感謝いたします。

論文題目 Unique Helical Magnetic Order and Field-Induced Phase un Trillium Lattice Antiferromagnet EuPtSi
掲載誌  J. Phys. Soc. Jpn. 88, 013702 (2019)
著者氏名 Koji Kaneko, Matthias D. Frontzek, Masaaki Matsuda, Akiko Nakao, Koji Munakata, Takashi Ohhara, Masashi Kakihana, Yoshinori Haga, Masato Hedo, Takao Nakama, and Yoshichika Onuki
受賞理由
本論文は、ウルマナイト型構造である希土類金属間化合物EuPiSiが示す反強磁性秩序ならびに磁場誘起される磁気構造を、単結晶中性子回折により明らかにし磁気スキルミオン格子に対応する秩序が実現していることを報告したものである。
磁気スキルミオンとは渦状のスピン集合体であり、そのトポロジカルに保護された安定性から、新しい磁気記憶デバイスへの応用が期待されている。2009年にキラル構造をとる3d電子系MnSi において、二次元三角格子上のtriple-q の構造が観測され、トポロジカルホール効果を示し注目を集めた。その後、3d電子系の化合物で同様の現象が次々に見出され応用を見据えた研究へと展開している。一方、2018年に、反強磁性体EuPtsiで特異な異常ホール効果が報告され、4f電子系で初めての磁気スキルミオン格子の可能性が示唆された。しかし,微視的な観測はなかったため、その検証が求められていた。
本論文では、異なる手法の中性子回折実験を組み合わせた微視的研究が報告された。本研究によって明らかとなったMnSiとの大きな違いは、磁気スキルミオン格子の直径がMnSiでは約180Aであるのに対して、EuPtsiでは約18Aと1桁も小さいことである。磁気スキルミオンによる創発磁場を考慮すると、そのサイズが小さいほど大きなトポロジカルホール効果が期待でき、実際、EuPtSiではトポロジカルホール効果の増大が観測されている.一連の磁気スキルミオン研究において、希土類化合物で初めて磁気スキルミオン格子を微視的に捉えた本論文は、その形成メカニズムと非自明な物性を理解するための重要な知見を与えた先駆的なものであり、その後の希土類化合物における磁気スキルミオン格子の探索や理論研究の発展にも大きく寄与していることから、日本物理学会論文賞にふさわしい優れた業績と判断される。
(日本物理学会誌 No.11 2024(Vol.79) p.643-644 より転載)

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